1. 両者の共通点(なぜ内容が「同じ」なのか)
表4. EU-GMPとPIC/S GMPの概要比較
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 文書構成 | EU-GMPもPIC/S GMPも、「Part I(製剤)」「Part II(原薬)」+「Annex」構成を採用 |
| ガイドライン内容 | 文章・章立て・要件レベルで非常に高い一致(Annex 1などは共同作成) |
| 実務適用 | 両方とも査察基準、製造管理基準として世界中の当局・業界に参照される |
→ PIC/SはEU-GMP文書をもとに、加盟国共通の国際GMPガイドラインとして採用しているため、実質的には同一文書が使用されていることが多いです。
2. 両者の違いと存在理由
表5. EU-GMPとPIC/S GMPの具体的な比較
| 比較軸 | EU-GMP | PIC/S |
|---|---|---|
| 管轄主体 | 欧州委員会(EC)+EMA | PIC/S(Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme:査察協定) |
| 目的 | EU域内の製造・販売を規制する法的GMP基準(Directive 2003/94/EC などに基づく) | 加盟国間で査察基準・実務の調和を進める協定組織(非拘束) |
| 法的拘束力 | EU加盟国には法的拘束力あり | 加盟国には直接の法的拘束力なし(各国GMPに反映が原則) |
| 対象 | EU域内で製造・販売される医薬品 | 加盟国すべて(日本、米国、スイスなど多数)のGMP査察調和 |
| 加盟国 | EU加盟国 | 56か国以上(EU + 日本、韓国、カナダ、オーストラリアなど) |
なぜ両方が「共に存在」するのか?
- EU-GMPはEU内の法規制の根幹。これはEU域内で製造・販売するための法律的な要件。
- PIC/Sは国際的な査察協力体制の枠組み。加盟国の間で査察の相互承認・調和を目的とする「自主的な協定」であり、法令ではなくガイドライン。
EUはPIC/Sの加盟国でもあるため、EU-GMPの改訂はPIC/Sにもほぼ自動的に反映される。
🧩 結論:なぜ「どちらも存在する」のか?
- EU-GMP:EU内での製造・承認に必要な法的基準
- PIC/S GMP:世界各国の査察・GMP調和を図るための共通言語
したがって、「文書構成や内容は同じでも、その制度的・国際的役割が異なるため、両者は必要」ということになります。
3局法体系の比較
表7 . 日本とEUおよび米国の法体系の比較
| 日本の法体系 | EUの対応制度・文書 | 米国(FDA)の対応制度・文書 | 備考(再掲) |
|---|---|---|---|
| 薬機法(医薬品医療機器等法) | Directive 2001/83/EC、Regulation (EC) No 726/2004 | FDCA(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act) 21 USC §355(NDA承認)、§351(生物製剤) | EU指令・規則で医薬品承認の基本を定義 |
| GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準) | EU-GMP(EudraLex Volume 4 Part I/II/Annex) | 21 CFR Part 210, 211(医薬品) 21 CFR Part 600等(生物製剤) | PIC/S GMPとも整合、MAH責任が強調される |
| GCTP省令(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準) | EU-GMP Annex 2、ATMP指針 | 21 CFR Part 1271(HCT/P) またはPart 210, 211に準拠(治験含む) | ATMP(先端治療製品)に対応 |
| GVP省令(製造販売後安全管理基準) | EU-GVP Modules I〜XVI | 21 CFR Part 314.80, .81(市販後) FDA PVガイダンス(FDA GVPはモジュール体系なし) | 市販後安全対策の基準 |
| GCP省令(治験実施の基準) | ICH-GCP(E6(R2))、Regulation (EU) No 536/2014 | 21 CFR Part 312(IND)、50(倫理)、56(IRB) + ICH-GCP(FDA採用) | 治験実施とデータ品質に関する規制、2022年以降CTR適用(CTIS必須) |
| GLP省令(安全性試験の基準) | OECD GLP原則、Directive 2004/9/EC | 21 CFR Part 58(GLP) | 非臨床試験に適用、OECD加盟国間で相互承認(日本含む) |
| 再評価・再審査制度 | PSUR、RMP、再評価要求 | FDAでは「Annual Reports」「Periodic Safety Reports」 リスク最小化はREMS制度 | 市販後の再評価・安全性監視、変更管理と年次再審査の制度設計が異なる |
| CTD(ICH M4に基づく申請) | EU-CTD(Module 1〜5)、eCTD | US-CTD(Module 1は米国版)、eCTD義務 | 共通の申請様式(日本・EU・米国で共通)、Module 1は各国仕様、2〜5は共通CTD |
用語の略語注記
CTIS:Clinical Trial Information System(治験情報提出ポータル)
PSUR:Periodic Safety Update Report(定期的安全性報告)
RMP:Risk Management Plan(リスク管理計画)
ATMP:Advanced Therapy Medicinal Product(先端治療製品)
薬機法
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の**正式な公布年は2013年(平成25年)**です。
具体的には:
- 公布日:平成25年11月27日(2013年)
- 施行日:平成26年11月25日(2014年)
この法律は、それまでの「薬事法」(1943年制定)を全面改正する形で制定され、「薬事法の抜本的改正」として「薬機法(略称)」と呼ばれるようになりました。主な改正点には、医療機器・体外診断用医薬品に関する規制の独立、再生医療等製品の創設、品質管理(GMP)や流通管理の強化などが含まれます。
薬機法など施行日
| 法体系・制度名 | 概要 | 施行年(または導入年) |
|---|
| 薬機法(医薬品医療機器等法) | 医薬品・医療機器等を規制する基本法 | 2014年11月25日施行(2013年11月公布) |
| GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準) | 医薬品製造におけるGMP基準 | 2005年4月1日施行(2021年一部改正) |
| GCTP省令(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準) | 再生医療等製品のGMPに相当 | 2014年11月25日施行(薬機法と同時) |
| GVP省令(製造販売後安全管理基準) | 製販後の安全管理(PV)に関する基準 | 2004年4月1日施行(2021年一部改正) |
| GCP省令(治験実施の基準) | 治験の実施に関する基準(ICH-GCP準拠) | 1997年4月1日施行 |
| GLP省令(安全性試験の基準) | 非臨床試験における試験基準 | 1983年10月施行(厚生省告示第313号) |
| 再評価・再審査制度 | 市販後の有効性・安全性の確認制度 | 再評価:1961年~、再審査:1971年~ |
| CTD(ICH M4に基づく申請) | 医薬品申請資料の国際共通フォーマット | CTD導入:2001年~、eCTD:2010年~ |
2025/07/02

