1. シーズ評価 (シーズからINDまでの実務シリーズ)

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1. はじめに:シーズ評価とは何か

最初に、シーズ評価の目的を明確にします。

シーズ評価とは、大学研究、企業研究、創薬探索、バイオ技術、DDS技術、細胞・遺伝子治療技術などを、医薬品開発テーマとして進める価値があるかを確認する作業です。

ここで重要なのは、「研究として面白い」ことと「医薬品として開発できる」ことは別である、という点です。

評価軸確認すること
医療ニーズその疾患・症状に未充足医療ニーズがあるか
薬効作用機序と薬効データに妥当性があるか
安全性標的毒性、オフターゲット、免疫原性などの懸念があるか
CMC製造、品質、分析、安定性に見通しがあるか
知財特許で保護できるか、他社特許を侵害しないか
規制IND、治験届、PMDA相談、FDA相談に進める見通しがあるか
事業性市場、競合、開発費、提携可能性があるか

2. シーズ評価が必要になるタイミング

次に、いつシーズ評価を行うべきかを説明します。

シーズ評価は、以下の段階で行うとよいです。

タイミング目的
論文発表・学会発表前知財保護の必要性を確認する
動物薬効試験の前試験設計と評価指標を整理する
開発候補品を選ぶ前複数候補から優先順位を決める
PMDA/FDA相談前不足データと相談事項を整理する
投資・導出前第三者に説明できる開発価値を整理する
CDMO/CRO委託前製造・非臨床・分析の委託範囲を明確にする

記事では、次のような表現が適切です。

シーズ評価は、開発を開始してから行う作業ではなく、開発に進めるかどうかを判断するために行う作業である。


3. シーズの種類と評価ポイント

医薬品開発シーズは種類によって評価ポイントが異なります。記事では、読者が自分のシーズを分類できるようにします。

シーズの種類主な評価ポイント
低分子医薬新規化合物、既存薬再配置薬効、ADME、毒性、合成法、特許
抗体医薬モノクローナル抗体、二重特異性抗体標的妥当性、免疫原性、製造性、品質特性
タンパク質医薬酵素、サイトカイン、融合タンパク質安定性、凝集、力価、投与経路
核酸医薬siRNA、ASO、mRNAデリバリー、オフターゲット、免疫刺激性
遺伝子治療AAV、レンチウイルス、プラスミドベクター品質、長期安全性、組織指向性
細胞治療CAR-T、幹細胞、細胞加工品細胞品質、一貫性、安全性、製造管理
DDS技術LNP、ナノ粒子、徐放製剤再現性、スケールアップ、毒性、製剤安定性
診断・コンパニオン診断バイオマーカー、検査法臨床的有用性、分析性能、規制分類

バイオロジクス、再生医療等製品、遺伝子治療用製品では、早い段階から品質および非臨床安全性の課題を洗い出すことが重要です。PMDAも、遺伝子治療用製品について、開発初期段階から品質および非臨床安全性評価の問題点を洗い出し、相談を活用することを勧めています。
出典URL:
https://www.pmda.go.jp/files/000238180.pdf


4. 医療ニーズ・対象疾患の評価

この章では、そのシーズが対象とする疾患に本当に開発価値があるかを整理します。

必要な記事内容は以下です。

確認項目解説
対象疾患どの疾患、どの患者集団を対象にするか
患者数希少疾患か、一般疾患か
重症度生命予後、QOL、日常生活への影響
既存治療標準治療、既存薬、手術、支持療法
未充足医療ニーズ既存治療で何が解決されていないか
差別化要素有効性、安全性、投与頻度、利便性
臨床エンドポイント何をもって有効と判断するか
開発優先度医療現場・患者・企業にとって優先度が高いか

記事では、以下のように説明すると実務的です。

医療ニーズの評価では、「新しい作用機序である」ことよりも、「既存治療で満たされていない問題を解決できるか」が重要である。


5. 作用機序・薬効データの評価

この章では、シーズの科学的妥当性を評価します。

必要な記事内容は以下です。

評価項目確認内容
作用機序標的分子・経路が疾患の発症や進行に関与しているか
標的妥当性標的を阻害・活性化することに治療意義があるか
in vitroデータ細胞試験で薬効が再現されているか
in vivoデータ動物モデルで有効性が示されているか
用量反応性濃度・用量依存性があるか
バイオマーカー薬効や作用機序を確認できる指標があるか
再現性複数回、複数条件、第三者でも再現されるか
比較対象既存薬や陽性対照と比較されているか

記事では、以下の観点を入れるとよいです。

シーズ評価では、「効果が出たデータ」だけでなく、「なぜ効くのか」「どの条件で効くのか」「どの程度再現性があるのか」を確認する必要がある。


6. 安全性リスクの初期評価

シーズ段階でも安全性の見通しは重要です。特にバイオロジクスや細胞・遺伝子治療では、標的依存毒性、免疫反応、長期安全性などを早期に考える必要があります。

必要な記事内容は以下です。

評価項目確認内容
標的分子の正常機能標的を操作したとき、正常組織に悪影響が出ないか
組織発現標的がどの臓器・組織に発現しているか
オフターゲット目的外の分子や経路に作用しないか
免疫原性抗体、タンパク質、核酸、遺伝子治療で免疫反応が起きないか
毒性懸念肝毒性、腎毒性、心毒性、神経毒性、免疫毒性など
安全域有効量と毒性量の差が見込めるか
種差動物モデルの結果がヒトに外挿できるか
長期安全性遺伝子治療、細胞治療などで長期フォローが必要か

PMDAのRS戦略相談では、今後実施する治験や承認申請に向けて、相談事項に対する公式見解や具体的な指導・助言が行われます。シーズ段階で安全性の論点を整理しておくことは、相談準備にも有用です。
出典URL:
https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0003.html