7. CMC・製造可能性の評価
シーズ評価編で特に重要なのがCMCです。研究室で少量作れることと、医薬品として一貫して製造できることは別です。
必要な記事内容は以下です。
| 評価項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 製造方法 | 再現性のある製造方法があるか |
| スケールアップ | 研究スケールからGMP製造スケールへ移行できるか |
| 原材料 | 医薬品製造に適した原材料を使えるか |
| 品質特性 | 同一性、純度、含量、力価、不純物を評価できるか |
| 分析法 | 品質を評価する分析法があるか |
| 安定性 | 保存中に分解、凝集、力価低下が起きないか |
| 製剤化 | 投与経路に適した製剤にできるか |
| 不純物管理 | 製造由来不純物、分解物、宿主細胞由来不純物などを管理できるか |
| ロット間一貫性 | 複数ロットで同等の品質を維持できるか |
| GMP移行性 | 将来GMP製造に移行できる設計になっているか |
ICH Q8(R2)では、医薬品開発の目的は、意図した性能を一貫して発揮する品質の製品と製造工程を設計することとされています。したがって、シーズ段階でも将来のQTPP、CQA、製造工程、管理戦略を意識する必要があります。
出典URL:
https://database.ich.org/sites/default/files/Q8%28R2%29%20Guideline.pdf
8. 知財・権利関係の評価
医薬品開発では、知財が弱いと事業化や導出が難しくなります。特に大学シーズでは、論文発表や学会発表の前に特許出願の要否を確認することが重要です。
必要な記事内容は以下です。
| 評価項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 物質特許 | 化合物、抗体配列、核酸配列、細胞、ベクターなどを保護できるか |
| 用途特許 | 新しい疾患用途や治療方法を保護できるか |
| 製法特許 | 製造方法に独自性があるか |
| 製剤特許 | DDS、安定化、投与経路などで保護できるか |
| 周辺特許 | 投与方法、併用療法、バイオマーカーなどを保護できるか |
| FTO | 他社特許を侵害せずに実施できるか |
| 出願時期 | 論文発表・学会発表前に出願しているか |
| 権利者 | 大学、企業、共同研究先の権利関係が整理されているか |
記事では、次の注意書きを入れるとよいです。
知財評価は専門性が高く、特許性や実施自由度の判断には弁理士・知財専門家への確認が必要である。
9. 規制・IND/治験届に向けた評価
この章では、将来INDや治験届に進むために、今から何を整理すべきかを説明します。
必要な記事内容は以下です。
| 評価項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 製品分類 | 低分子、バイオ医薬品、再生医療等製品、遺伝子治療用製品など |
| 開発地域 | 日本、米国、欧州、グローバル開発のどれを想定するか |
| 規制相談 | PMDA RS戦略相談、FDA pre-IND meetingなどを使うか |
| 非臨床試験 | 薬効薬理、安全性薬理、毒性、薬物動態など |
| CMC資料 | 製造方法、品質規格、分析法、安定性、原材料管理 |
| 臨床計画 | 初回投与量、対象患者、エンドポイント、リスク管理 |
| 申請資料 | IND、治験届、CTDに必要な資料構成 |
| ギャップ分析 | 現状データと必要データの差分を整理する |
FDAのINDページでは、INDの種類、法律・規制、関連ガイダンス等が整理されています。米国開発を想定する場合は、早期にIND要件や相談制度を確認しておく必要があります。
出典URL:
https://www.fda.gov/drugs/types-applications/investigational-new-drug-ind-application
10. 事業性・提携可能性の評価
研究として優れていても、開発費、市場、競合、提携可能性の面で進めにくい場合があります。そのため、シーズ評価には事業性評価も含めるべきです。
必要な記事内容は以下です。
| 評価項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 市場規模 | 患者数、薬価、治療期間、市場成長性 |
| 競合品 | 既存薬、開発中品目、標準治療 |
| 差別化 | 有効性、安全性、利便性、製造コスト |
| 開発費 | 非臨床、CMC、臨床試験、製造、薬事対応の費用 |
| 開発期間 | IND/治験届、Phase I、Phase II、承認までの期間 |
| 提携可能性 | 製薬企業、VC、CRO、CDMO、AMED等の関心 |
| 出口戦略 | 自社開発、導出、共同開発、ライセンスアウト |
| リスク | 技術リスク、規制リスク、資金リスク、競合リスク |
記事では、次のようにまとめるとよいです。
シーズ評価では、「よい薬になりそうか」だけでなく、「開発を継続する資金と提携先を得られるか」まで確認する必要がある。
11. シーズ評価スコアリング表
有料記事または有料レポートにする場合、読者が自分で評価できるスコアリング表を入れると価値が高くなります。
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 医療ニーズ | A / B / C | |
| 標的・作用機序の妥当性 | A / B / C | |
| 薬効データの強さ | A / B / C | |
| 安全性リスク | A / B / C | |
| CMC実現性 | A / B / C | |
| 知財の強さ | A / B / C | |
| 規制対応の見通し | A / B / C | |
| 事業性 | A / B / C | |
| 総合評価 | Go / Conditional Go / No-Go |
評価基準は以下のように設定できます。
| 判定 | 意味 |
|---|---|
| Go | 追加投資して開発候補化を進める価値が高い |
| Conditional Go | 重要な不足データを取得して再評価する |
| No-Go | 現時点では開発テーマ化しない |

