はじめに
Biologics (生物製剤)では、混入する可能性のあるウイルスについてリダクション能力を評価していることが必要であり、商用製品では、製造工程のウイルス・クリアランス試験が必須である*1。臨床サンプルについてもウイルス・クリアランス試験として、1~2種類のモデル・ウイルスを用いて実施されているのが実情である。
ウイルス・クリアランス試験には、(1) エンベロープを有し比較的耐久性の低いレトロウイルスのモデル・ウイルスとしてX-MLV (MuLV: Xenotropic murine leukemia virus)、(2) エンベロープを持たず小型で耐久性の高いパルボウイルスのモデル・ウイルスとしてMVM (minute virus of mice:MVM = murine minute virus:MMV = Murine parvorirus source)の使用が多い。
編集履歴 2020/05/18 S2IND 2020/05/25 追記(ウイルス除去工程) 2020/08/23 充実化(ウイルス除去工程)
製造工程のウィルス・クリアランス試験など、求められる試験 – Eli Lilly and Company, CMC Strategy Forum, Europe, 2018 – より
Modular Retrovirus Clearance in Support of Clinical Development, Bio-product Research & Development
| ウイルス記号 | ゲノム | エンベロープ | サイズ (nm) | 抵抗性 | |
| ネズミ白血病ウイルス | MuLV *2 | single stranded RNA | (+) | 80 – 110 | 低い |
| マウス微小ウイルス | MVM | single stranded DNA | (-) | 18 – 24 | 非常に高い |
MLVのRNAをqPCRで定量
ウイルス・クリアランス試験
一般的なウイルス除去工程
評価方法
ウイルス除去率の解釈
関連するガイドラインには、ウイルスの除去率に関して考慮すべき要因が示されています1)。以下の要因について考慮することで、プロセスステップをウイルスの不活性化/除去において、以下のように見なすことができるかどうかを決定します
考慮する要因
何回か試験を実施して、異なる除去率が計算された場合、リスクを考慮して評価するなら低い方の値を採用する。
ウイルス・アッセイの例示
ウイルス・アッセイについて、以下の文献から例示として情報を抽出した。ウイルスに応じて感染効率の高い細胞を使用し、用いる細胞の培養に使用する培地についても参考になる。
Cell
media
Virus (MLV)
Virus assays
追記
ウイルス液の清澄化は、低いGでの遠心上清、超遠心で濃縮する。
レトロウイルス・系統樹
図1(左)の系統樹をもとに、以下詳細にまとめた。
パルボウイルス・系統樹
感染様式
レトロウイルスの感染様式
図1(右)は、レトロウイルスの感染様式を示している。
先ず、レトロウイルスは、細胞表面に非特異的に吸着し、その後、以下の機構のいずれかで細胞内に進入する
次に細胞質内に以下の機構により侵入する
パルボウイルスの感染様式
パルボウイルスは、細胞表面に吸着した後、endocytosisで細胞質内に入ります。その後、endosomeは、内部がpH4になったLysosomeに変換され、同時にphospholipase A2を活性かされて、Lysosomeの膜を破り、ウイルス粒子は細胞質内にでできます。その後、VP1を介して細胞核に入り込まれてゆきます。
1) ガイドライン
以上

