アデュカヌマブ
痴呆症の内の60%は、アミロイドβが蓄積して脳の神経細胞を壊すアルツハイマー病 (AD) と言われいます。このアミロイドβ(Aβ)を取り除くことで、進行を遅らせることができると考えられる抗体医薬(IgG1)が、アメリカのFDAが、迅速承認という条件付きで2021/06に承認しました。今後、米国では市販され多くの患者さんに投与されることになります。その全ての治療結果について、再評価されるというのが、条件付きの理由です。大規模な治療成績において、治療効果が認められない場合は、承認が取り消されます。
2023/10現在,このaducnumabは,Biogenとエーザイの共同開発品ですが,日本での承認は,未だされていません.しかし,エーザイとBioArctic ABの共同開発してたrekanemab (使用品名: レケンビ)が,2023/8月に日本で承認されました.米国では既に,2023/07に承認されています.
- Aduhelm (aducanumab)
これまで、沢山の医薬品開発企業が、ADの治療薬として抗体医薬も含めて開発が行われてきました。根本的な治療ではない治療薬の承認は20年以前にあるようですが、今回は、初めての根本的な治療につながると考えられる治療薬です。しかし、aducanumab での臨床結果は、Aβ(アミロイドベータ)を減らせることは証明できたものの、それが痴呆症を遅らせることを証明したものではありません。そのため、条件付きの承認なのです。僕も、20年以上前に、同様の開発プロジェクトに関わったことがあります。今回、抗体医薬品として承認されたことは、本当に画期的なことです。Biogenがあきらめず、承認まで漕ぎ着けた背景については参考5)(Bloomberg)に詳しく示されています。
- aducanumabは,Aβの凝集体を標的としている抗体医薬
- lekanemabは,Aβの可溶性(プロトフィブリン)と不溶性を標的としている抗体医薬
副作用
アルテプラーゼ (レカネマブ) : 薬剤投与中に脳出血を発現した場合,出血を助長するおそれがある(2024/05/22)
研究紹介コラム 認知症の新しい治療薬アデュカヌマブについて(1)
研究紹介コラム 認知症の新しい治療薬アデュカヌマブについて(1) | 国立長寿医療研究センター (ncgg.go.jp)
抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」について、日本において早期アルツハイマー病に係る適応で新薬承認を申請
抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」について、日本において早期アルツハイマー病に係る適応で新薬承認を申請 | ニュースリリース:2023年 | エーザイ株式会社 (eisai.co.jp)
Lecanemab(BAN2401)の臨床効果についてアルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)のLate Breakingとして発表
Lecanemab(BAN2401)の臨床効果についてアルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)のLate Breakingとして発表 | ニュースリリース:2021年 | エーザイ株式会社 (eisai.co.jp)
aducanumab
aducanumabの開発名は、BIIB037で、スイスのNeurimmuneが発見したモノクローナル抗体ということです。アミロイドβ(Aβ)に高い結合親和性がありますが、脳の実質細胞に存在するAβに特に結合し、血管に沈着しているAβには結合しません(2013年当時)2)。
臨床試験プロトコル
aducanumabの臨床試験のプロトコルの概要は、以下の通りです3)
- エンドポイント : 18ヶ月目のPET画像によるAβプラークの減少
- 患者数 : 3285人
- 地域 : アメリカ、カナダ、EU, オーストラリア
- Dose : 最初は1mg/kgからスタートし、徐々に投与量を上げていく(4weeks刻み)
- 1mg/kg
- 3mg/kg
- 6mg/kg
- 10mg/kg
結果
有効性の評価は、以下の試験で実施されました。
- Phase 3
- 対象 : 初期段階である軽度認知障害と軽度認知症
- EMERGE : 試験1 (アミロイドβプラーク減少71%, p<0.0001)
- ENGAGE : 試験2 (アミロイドβプラーク減少59%, p<0.0001)
- PRIME : アミロイドβプラーク減少61%, p<0.0001)
- PETで評価
- 対象 : 初期段階である軽度認知障害と軽度認知症
- Phase 1b
- プラセボ
- 無作為化二重盲検容量設定 : 試験3
- プラセボ
副作用
安全性ブロファイルです。
- 投与1回以上の3,000人の患者で確認
有害事象です。
- 治療受けた2%の有害反応(プラセボより2%以上高いもの)
- ARIA-E
- 頭痛
- 脳表へモジデリン沈着
- ARIA-H関連表在性せん妄
- 転倒
- 下痢
- 錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害
- ARIA(脳の浮腫) :MRI観察によるアミロイド関連画像異常( ARIA-E, ARIA-H)
- 10mg/kg投与群 : 41%
- 症候性あり : 24%
- 頭痛
- 錯乱
- めまい
- 視覚障害
- 吐き気
- 症候性あり : 24%
- ブラセボ : 10%
- 症候性あり : 5%
- 同上
- 症候性あり : 5%
- 10mg/kg投与群 : 41%

